taikai 学生・若者とコミュニティ

コミュニティ心理学会第12回大会を終えて

   吉武清實・佐藤静香(東北大学)

   2009年6月20日(土)と6月21日(日)の二日間に亘り、日本コミュニティ心理学会第12回大会を無事に終えることができました。東北の地で2回目、仙台では初めて、東北大学川内北キャンパスにおいて、東北大学高等教育開発推進センターの共催を得ての開催でありました。愛知学院大で開催された前回大会では151名の参加者でした。今回は、仙台開催、かつ一部の会員の方が国際学会に参加されということもあり、いくらかの懸念をしていたところですが、最終的には139名の熱心な参加を得ることとなりました。天候もまずまずで、懇親会も好評を得、収支の問題も生ずることなく終了し、主催者として安堵した次第です。

研究発表39題、その内、口頭発表が21題、ポスター発表18題。近年の口頭発表減少傾向からみて心配しておりましたが、まずまずの口頭発表数でありました。研究委員会企画シンポジウム、大会企画シンポジウム、大会企画講演は、「教育領域」および「宮城岩手内陸地震被災地域コミュニティにおける取り組み」という今日的テーマと東北の地域的テーマを織り交ぜた内容でありました。地方開催の特徴も生かした、内容あるものになったと思っております。

このほか、総会、恒例の院生の集いその他、滞りなく進行することができました。ひとえに理事の皆さん、学会事務局関係者並びに大会事務局、準備委員の皆さん、東北大学大学院教育学研究科および宮城教育大学の学生・大学院生の皆さん、および地元SC有志の皆さんの力によるものであり、心より感謝を申し上げたいと思います。また、高等教育開発推進センターの共催を得たことは、経済的支援をも意味したことを申し添えておきたいと思います。

本大会を振り返って、次回大会の参考として次の諸点をあげておきたいと思います。

・予約参加84名であったが、当日参加者(主に学生)の伸びによって、最終的な参加者はまずますの数となった。

・国際学会との日程の重なりを避けるべきであったが、開催日程の決定にあたって十分注意を払うことができなかった。残念なことであった。

・懇親会の予約参加が少なく、当日参加数の見込みがたてにくく、予算をたてにくく苦慮させられた。結果としては前年並みの参加が得られ、見込み(期待)どおりの人数とはなった。

・収支に関しては、予約参加者数や広告収入が少なく赤字も懸念されたが、印刷費の節減やポスターパネル・看板等を共催の東北大学から調達できたことにより、支出を減らすことができた。

・研究発表に関しては昨年に比べて口頭発表が増加しポスター発表が減少した。ただし、自主ンポジウムの申し込みが0件であったことは、残念なことであった。

・次回大会について、我が国のコミュニティ心理学会が今後どのような方向を目指すのかという問題意識を念頭に置きながら、早めにシンポジウム等のテーマ、企画を錬ることが必要であろうと思われる。

―――以上。末尾に、本学会のさらなる発展と、次回大会における研究内容と討議のいっそうの充実を祈念して、12回大会の報告といたします。

 

第12回大会プログラム

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講演・シンポジウム
口頭発表
ポスター発表
●講演・シンポジウム
日時 ・ 場所 内容
6月21日(日)9:45~11:45 M206室 研究委員会企画
シンポジウム
学校におけるスクール・カウンセラーの役割とあり方
-スクール・ソーシャルワーカーとの関連で- (詳細)
<話題提供者> 光岡征夫 山梨英和大学
峯本耕治 弁護士
小林正稔 神奈川県立保健福祉大学
<司会> 光岡征夫 山梨英和大学
<指定討論者> 藤倉眞一 名取北高校・学校長
吉武清實 東北大学
6月21日(日)13:30~15:10 M206室 大会企画講演 岩手・宮城内陸地震後のコミュニティ再生 (詳細)
<講演者> 佐々木豊志 くりこま高原自然学校 代表
<司会> 池田忠義 東北大学
<企画> 第12回大会準備委員会
6月21日(日)15:20~17:00 M206室 大会企画シンポジウム
大学生・若者とコミュニティ (詳細)
<話題提供者> 佐々木豊志 くりこま高原自然学校 代表
末松和子 東北大学
布柴達男 東北大学
<コメンテータ> 高畠克子 東京女子大学
北島茂樹 産業医科大学
<司会> 吉武清實 東北大学
<企画> 第12回大会準備委員会
●口頭発表
<口頭発表1>座長:黒沢幸子(目白大学)
日時・場所 時間 タイトル・発表者
6月20日(土)  10:00~12:00  M401室 10:00~10:30 学校コミュニティへのナラティブ・アプローチ
-「いじめ」に対するコミュニティへの予防的介入を巡って-
田代 順(岩手大学)
10:30~11:00 不登校予防プログラムに関する評価研究
-スクリーニング・テストの作成・実施およびコンサルテーションの実施-
小栗貴弘(埼玉県スクールカウンセラー)
11:00~11:30 学校コミュニティ支援「メンタルサポート・ボランティア」派遣プログラムにおけるアウトカム評価
-ボランティア活用による児童・生徒における問題行動の変化の検討-
田島佐登史(目白大学)
黒沢幸子(目白大学)
日高潤子(目白大学)
平部正樹(目白大学)
11:30~12:00 個別事例のロジックモデリングによるプログラム評価手法開発の試み
安田節之(西武文理大学)
<口頭発表2>座長:久田 満(上智大学)
日時・場所 時間 タイトル・発表者
6月20日(土)  10:00~12:00  M404室 10:00~10:30 「わたしたちの居場所」の構成と維持
-フリースクールでの葛藤に着目して-
木内彩乃(メンタルクリニック・クラルス)
田辺 肇(静岡大学大学院人文社会科学研究科)
10:30~11:00 勤労者の被援助志向性向上への取り組み
-メンタルヘルス不調者発症を未然防止するために-
宇田亮一(立教大学大学院現代心理学研究科)
11:00~11:30 教員、事務職、医療職のCEAPSの各尺度値及び危機項目の検討
池田紗矢(金沢工業大学心理科学研究科)
塩谷 亨(金沢工業大学心理科学研究科)
11:30~12:00 筋弛緩法の実施とCEAPSのSt尺度値の変化:対象者21名を用いて
橋本尚子(金沢工業大学心理科学研究科)
塩谷 亨(金沢工業大学心理科学研究科)
<口頭発表3>座長:高畑 隆(埼玉県立大学)
日時・場所 時間 タイトル・発表者
6月20日(土)  13:30~15:30  M401室 13:30~14:00 傾聴ボランティアに関する実践研究(2)
-行政機関主催の養成講座のあり方の検討-
目黒達哉(同朋大学)
14:00~14:30 精神保健医療福祉の地域格差にコミュニティ心理学は何ができるか
氏家靖浩(東北文化学園大学)
14:30~15:00 米国におけるCommunity Health worker
-地域における保健・福祉サービスの”民”の力-
河村洋子(国立がんセンター)
15:00~15:30 コモンズの保全を目的とした共同統治システムの成立過程
-沖縄県恩納村における行政・漁協・一般住民の正当性-
野波 寛(関西学院大学)
加藤潤三(大阪国際大学)
中谷内一也(同志社大学)
<口頭発表4>座長:大石幸二(立教大学)
日時・場所 時間 タイトル・発表者
6月20日(土)  13:30~15:00  M404室 13:30~14:00 看護師における心理専門職への援助要請に関する研究(1)
-看護師援助要請意欲尺度の作成-
久田 満(上智大学)
大畠みどり(上智大学)
14:00~14:30 看護師における心理専門職への援助要請に関する研究(2)
-援助要請態度と援助要請意欲の関連-
大畠みどり(上智大学)
久田 満(上智大学)
14:30~15:00 医療現場におけるコミュニティ支援プログラムの展開の試み
-地域がんセンター緩和ケアチームとのコラボレーション-
黒田浩司(山梨英和大学)
<口頭発表5>座長:三枝将史(埼玉県所沢児童相談所)
日時・場所 時間 タイトル・発表者
6月20日(土)  15:40~17:10  M401室 15:40~16:10 児童養護施設におけるスタッフと虐待を受けた子どもの家族との関係構築
篠田久美(静岡市児童相談所)
田辺 肇(静岡大学大学院人文社会科学研究科)
16:10~16:40 子ども虐待における養育者と児童相談所臨床家の対峙的関係
-アウトリーチから始まるコンフリクトの構造から-
高岡昂太(大学院教育学研究科)
16:40~17:10 若年無業者の職業的自立における現状と臨床心理的ケアの必要性
-ふくい若者サポートステーション調査報告より-
川中栄奈(立命館大学大学院文学研究科)
梅田隆行(ふくい若者サポートステーション)
田中伸晃(福仁会病院)
清島 眞(日本セルプセンター)
<口頭発表6>座長:加賀美常美代(お茶の水女子大学)
日時・場所 時間 タイトル・発表者
6月20日(土)  15:40~17:10  M404室 15:40~16:10 短期留学生の地域社会への参入
阿部祐子(国際教養大学)
16:10~16:40 大学院留学生の研究環境に対するコミュニティ感覚
-研究生活における困難さとの関連を探る-
園田智子(群馬大学 国際教育・研究センター)
16:40~17:10 日本人海外移住者の日本人同士のつきあいとコミュニティ形成
:イングランド東中部に住む日本出身女性たちの生活から
石盛真徳(京都光華女子大学)
●ポスター発表
<ポスタ-発表A>
責任在席時間 P1,P3,P5,P7,P9      10:00~11:00
P2,P4,P6,P8,P10     11:00~12:00
P11,P13,P15,P17,P19  13:30~14:30
P12,P14,P16,P18     14:30~15:30
日時・場所 記号 タイトル・発表者
6月20日(土)   10:00~15:30                 6F大ホール P1 若年無業者の自立支援における臨床心理実践のあり方についての一考察
-心理的支援枠組みの構築から地域活動までを振り返って-
佐藤良香(とちぎ若者サポートステーション)
P2 バーンアウトへの介入
:仕事とうまくつきあうための6つの戦略の試行
増田真也(慶応義塾大学)
P3 レバノンのパレスチナ難民キャンプにおける心理社会支援協働プロジェクト
-「補習クラス」支援スタッフへの「心理サポート研修」を介した後方支援活動を中心に-
箕口雅博(立教大学現代心理学研究科)
大橋 智(立教大学現代心理学研究科)
中村哲也(NPO法人パレスチナ子どものキャンペーン)
田中好子(NPO法人パレスチナ子どものキャンペーン)
P4 NPOの難民支援とコミュニティ感覚の生成
松永知恵子(NPO法人 ACC危機の子どもたち・希望/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科)
P5 ゴミのポイ捨て行動への行動コミュニティ心理学的介入
大橋 智(立教大学大学院現代心理学研究科)
小林勇太(立教大学文学部心理学科)
P6 地域通貨の効果測定
-ソーシャルサポート尺度を用いた検討-
西崎晃輔(関西学院大学大学院文学研究科)
嶋崎恒雄(関西学院大学文学部)
P7 NICUにおける臨床心理士の関わりを導入した試み
-NICUというコミュニティへの関わりを試みた1年目の経過と看護師への調査-
飯塚暁子(独立行政法人 国立病院機構 福山医療センター)
P8 子育て・保育現場へのコミュニティ心理学的介入
-保育士に対する心理教育プログラムの実践とその評価研究-
須賀田真理(志木市立教育サポートセンター)
P9 保育所・保健センターにおける児童虐待への予防的アプローチについての一考察
-保健師・臨床心理士の協働による母親支援-
米山祐子(立教大学大学院)
箕口雅博(立教大学)
P10 不登校の「中1ギャップ」についてのコミュニティ心理学的検討
高橋美枝(日本女子大学)
小出ひろ美(日本女子大学)
北林幸子(日本女子大学)
福島里美(日本女子大学)
鉾谷 路(日本女子大学大学院)
福島 円(日本女子大学)
鵜養美昭(日本女子大学)
P11 行政の実施する不登校児童生徒支援プログラムへの実践的介入
-プログラム評価の「入り方」とその実際-
山本耕太(志木市立教育サポートセンター)
P12 職員室とはいかなる環境か?
-中学校における職員室風土を探る-
佐藤昭宏(北海道大学大学院教育学院)
P13 学校という場を通してのコミュニティづくりに関する調査研究(1)
-学校への地域住民参加を中心に-
深尾 誠(大分大学)
山崎清男(大分大学)
中川忠宣(大分大学)
P14 学校臨床におけるニューカマーの児童生徒への心理社会的支援の検討
-学校スタッフ・支援団体と子ども達へのインタビューを通して-
五寳美詠子(目白大学大学院)
黒沢幸子(目白大学大学院)
P15 日本語学校で受けたサポートと就学生の主観的幸福感の関係についての検討
:マルチメソッド・アプローチによる分析
Qiu Yan(東京大学)
P16 高齢者の抑うつと身体的健康、ソーシャル・サポートとの関連
-全国高齢者調査データの二次分析-
源氏田憲一(一橋大学大学院社会学研究科)
P17 特別支援教育にかかわる支援員への研修プログラムの提案
-PAC分析によって抽出された活動継続要因に注目して-
中村香奈子(公立小学校スクールカウンセラー)
P18 小学校通常学級における特別なニーズのある子に対するクラスメイトの関わり
黒住早紀子(東京女子大学大学院)
P19 写真投影法による危険認知の把握(5)
-子どもの発達による危険・不安認知の違い-
岡本卓也(関西学院大学社会学部)
林 幸史(関西学院大学大学院社会学研究科)
藤原武弘(関西学院大学社会学部)

 

ダウンロード用ファイル
大会発表論文集原稿書式
MS Word, doc形式
2009年3月6日
日本コミュニティ心理学会 第12回大会準備委員会事務局
 会員各位におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。
コミュニティ心理学会第12回大会へのご参加、ならびに研究発表へのお申し込みをいただきまして、誠にありがとうございます。お申し込みいただきました研究発表につきまして、以下の[発表要領]に従って「プログラム・発表論文集」用の原稿を作成し、ご送付くださいますようお願い申し上げます。
 なお、発表および原稿作成の際には、以下の点を厳守してください。後日、問題が生じるような場合は、発表者の責任となりますのでご注意ください。
(1)発表や発表内容について、研究の対象者・対象機関の許可が得られていること。
(2)発表においては、研究の対象者・対象機関に対しての守秘義務が守られていること。
また、個人や機関が特定できないような記載の仕方がされていること。
(3)文章や図表に引用等がある場合、そのソースが明記されていること。
発表要領
1.研究発表(口頭発表、ポスター発表)を申し込まれた方:
(1)口頭発表・ポスター発表のいずれの場合も、5.発表論文集原稿の書式に従って原稿を作成し、
期日までに郵送にてご送付ください。
(2)ポスターの作成掲示に関しては、4.備考(2)をご覧ください。
2.自主ミニシンポジウムを申し込まれた方:
以下の2点について期日までにご送付ください。
(1)コーディネーターは、「タイトル」「シンポジスト氏名(所属機関)」「シンポジウムの趣旨」を、
A4 1枚にまとめて、郵送およびE-mailにてご提出ください(編集は大会事務局で行います)。
(2)各シンポジストは、発表内容について、5.発表論文集原稿の書式に従って原稿を作成し、
期日までに郵送にてご送付ください。
3.原稿送付について:
(1) 原稿送付締切 2009年4月13日(月)当日消印有効
(2) 送付方法
鮮明に印字した完成原稿を、折らずに郵送でご提出ください。
E-mail、FAXでは受け付けできません。
締切日以降の提出につきましても受理しかねますのでご了承ください。
(3)提出先
〒980-8576 宮城県仙台市青葉区川内41
東北大学学生相談所内
日本コミュニティ心理学会第12回大会準備委員会事務局
4.備考:
(1)口頭発表は、質疑応答を含め、1組25分以内でお願いいたします。
発表会場には、プロジェクターと教材提示装置(OHC)が用意されています。
パソコンを使われる場合はご持参ください。
(2)ポスター発表は、90cm×180cmの掲示スペースにポスター掲示を行い、
解説と質疑応答をお願いします。掲示形式は特に定めませんが、参加者に分かりやすいよう、
ポスター上部に発表タイトル・氏名と所属を明記してください。
ポスター掲示時間は2時間ですが、在席責任時間を指定された時間に設けます。
掲示時間終了後は、速やかに片付けてください。また、複数の発表者で関連した発表を
される場合は、隣接した場所をご用意しますので、どの発表との関連発表であるかを
明記してください。
(3)発表形式に関わらず、当日会場で配布する資料等がありましたら、
ご自身で100部ほどご用意ください。
5.大会論文集原稿の書式:
(1)原稿はA4版、2段組(段組の間隔は2文字程度)、2ページで作成してください。
(2)余白は、上は25ミリ、下は30ミリ、左右は25ミリです。
(3)タイトルは14ポイント程度中央寄せ、発表者名、所属は12ポイント程度中央寄せです。
(4)本文の字の大きさは10.5ポイント程度です。
(5)1枚目の本文の字数は22文字、行数は33行、2枚目の本文の字数は22文字、38行ですが、
大きく逸脱しない程度であれば変更していただいても結構です。
(6)ページ番号は打たないでください。
(7)提出していただいた原稿はそのまま製版されますので、黒で鮮明に印刷してください。
*この書式は、こちら(MS Word, doc形式)からダウンロードできます。
<問い合わせ先>
〒980-8576 宮城県仙台市青葉区川内41 東北大学学生相談所内
日本コミュニティ心理学会第12回大会準備委員会事務局
TEL:022-795-7833
FAX:022-795-3861
E-mail:jscp2009@he.tohoku.ac.jp
PDF 1号通信
PDF 2号通信
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