学会長挨拶

就任のごあいさつ(2021.6)

会長 高橋 美保

 コミュニティ心理学会の歴史を振り返ると、本学会は温泉に集って議論するという古き良き日本の伝統的な寄り合いコミュニティから始まり、それが学会という社会的な組織に発展して20年余りが経ったところです。本学会自体が自発的なコミュニティとして形成され、それが社会化していくというコミュニティの発展の流れを生きているといえます。

タックマンとジェンセン(1977)のチーム発達の5段階モデルになぞらえると、本学会は今、形成期(Forming)と混乱期(Storming)を超えて、統一期(Norming)に差し掛かっているのかもしれません。統一期の役割は、この後に控えている機能期(Performing)に向けて、新旧の会員、そして様々な学術領域の会員皆様の多様性を力に変えていくことだと思っております。

時代とともにコミュニティの在り方自体も変化しつつあります。学会においても、伝統的な寄り合い組織の良さを保ちながら、新しいコミュニティの在り方を模索していく必要があると考えております。これはコミュニティ心理学会自体をフィールドとしたコミュニティ学研究の始まりとも言えます。学会員の皆様には、是非この研究の一員としてご参画いただけますと幸いです。

諸先輩方が大事に育てられたコミュニティが、組織としての重要な局面を迎えている今、会長職を担うことには大きな責任を感じておりますが、微力ながら尽力してまいる所存です。学会としても、コミュニティ心理学の研究や実践が社会のお役に立てるよう努力していきたいと考えておりますので、何卒ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。