内山慶子(神奈川県立総合教育センター)
第6回大会 参加記
公開シンポジウム 「コミュニティー心理学と政策立案への関与
公開シンポジウム 「コミュニティー心理学と政策立案への関与」に参加して
内山慶子(神奈川県立総合教育センター)
大会2日目のシンポジウムは、コミュニティー心理学はどう政策に関与できるか、関与するならば政策のどのレベルへの提案なのか、などがシンポジストと指定討論者から発表された。フロア-は各々が自分の実践や研究がコミュニティーにどう還元できるのかを考えさせられた時間であった。
大会1日目のシンポジウムは、女性が企画提案してDV、セクシャルハラスメントに焦点をあてたコミュニティー臨床からネットワーク、NPO、司法への具体的提言だったのに対して、2日目のこのシンポジウムは、企画もシンポジストも男性で収束点がパワーポリティックスと抽象性、男性イメージの強いものであった。
個々の具体的実践から得られた知見を政策につなげることがコミュニティー心理学の課題であることを考えると、この1日目のシンポジウムとポスター発表を2日目のシンポジウムにつなげること(つまり政策につなげること)を安藤、辻、中田、降旗氏が学会参加者に迫ったのである。安藤氏は、含蓄のあることばで多くのデータをもっている行政への関与のタイミングを示唆してくださった。辻氏は、発達障害児の支援の実践でみえてきた無力な行政を様々な観点から示された。中田氏は、行政の側としてできることの実例(支援教育でネットワークをくむこと、人と人をつなぐこと)が報告された。
フロア-のわれわれは、自分の実践がコミュニティー心理学であることを確認し、その実践を伝えるスキルをもつことからはじめて、社会的なニーズに分析的、実践的、研究的にこたえるべくタイミングをつかんで政策に入り込んでいかなければならないこと、行政ともネットワークできることをシンポジスト、指定討論者からエンパワーされていったのである。事象の心理学的実践や分析が組織や環境の変革につながることを意識できる、有益なシンポジウムであった。