新 雅子(大阪府藤井寺保健所)
第6回大会 参加記
ポスター発表
ポスター発表について
新 雅子(大阪府藤井寺保健所)
多数の発表があって盛況だった。 ただ残念なことに、発表数の割に会場が少々手狭だったために、ボードの前のディスカッションがせっかく佳境に入っても、周囲の声と錯綜して聞き取りにくかった。また、もう少し時間の余裕も欲しかったが、贅沢な注文かもしれない。
コミュニティ心理学の場合、取組分野が広範囲に及ぶため、ポスター発表のほうが専門を絞ってじっくり発表者と意見交換できる点では好都合であった。 実際に、得るところもあって、学会企画者に敬意を表したい。一方、全体発表ならでは聞くことができる専門外分野の動向に接することができないという欠点もあり、一長一短である。幅広く、色々な取り組み方法に接することによって得られる発想の転換のきっかけも捨て難いものがあるだけに、今後の学会について、隔年で発表スタイルを変えるといった工夫も大切かもしれない。
筆者が聞いた発表はごくわずかであった。その中では当初からねらいを定めていた「精神障害者施設における施設コンフリクト」について感想を述べたい。
表題は極めて興味深いものではあったが、内容が文献リサーチを中心としたものであり、それが10年前のものを中心としていたことが残念であった。特に、精神科領域におけるこの10年間の法整備等における変化が甚だしいだけに、10年前のコンフリクトと現在のものではかなりの相違が予想される。特に、障害者基本法によって、精神障害者が他の障害者と同じように福祉の対象者として市町村からの支援も受けられるようになったことによって、障害者が地域で生活することが当たり前のこととされつつあり、地域の人々も彼らと接する機会が増えてきた。それだけに、旧来のコンフリクトに変わって新たなコンフリクトが発生するのか否かも興味深いところである。しかも、施設の規模や内容によってもコンフリクトのあり様は変化すると思われるので、コミュニティ心理学的手法による調査研究と実践は有意義であると期待している。